コラム

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不動産に関するお悩み解決のため日夜奮闘中!

松戸不動産情報館は、松戸市を始め、市川市や船橋市、柏市、流山市、鎌ヶ谷市などで、不動産売却を行っています。こちらでは当社の日々の活動について、日報形式でご紹介します。

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  • 「つなぎ融資」とはなにか、どんな時に有効か

    「つなぎ融資」とはなにか、どんな時に有効か

    「つなぎ融資」とは 自宅の住み替えを行う場合、今住んでいる家の売却と新居の購入を同時並行で進める必要があります。 とくに売却よりも新居の購入を行う「買い先行」で進める場合、「新居の購入代金や初期費用の支払いにあてる資金をどのように捻出するか」が問題になることが多いです。 このような時に利用できるのが、「つなぎ融資」です。 この記事では、つなぎ融資を利用できるケースやメリット、デメリットについて、わかりやすく解説します。 ライフスタイルの変化、周囲環境の改善、家の老朽化、転職や転勤などの理由で、今持っている自宅を売却して新たに物件を購入することを「買い替え」と言います。 買い替えには、現在の住まいを売ってから新居を購入する「売り先行」と、新居を購入してから元の家を売却する「買い先行」の2つがあります。取引の流れがそれぞれ異なるので、どちらの方法も確認しておきましょう。 「売り先行」のケース 「売り先行」では、住んでいる家を売却したのちに新居探しを始めます。「売り先行」の買い替えのメリットとして、二重でローンを組む必要がありません。二重ローン(ダブルローン)状態にあると、「早く売らなければいけない」という焦りが生じ、極端な値下げ交渉に応じてしまうといったことにもなりかねません。 また、「売り先行」の場合、売却資金を新居の購入にあてられるため、資金計画が立てやすいというメリットもあります。資金計画をしっかりと立てられると、新居を購入する際の予算組みや住宅ローンの返済プランの策定をスムーズに行うことができます。 一方で、住んでいる家を売却してから新居の引き渡しまでの間、仮住まいが必要になる点には注意が必要です。 「買い先行」のケース 一方「買い先行」では、新居を購入してから元々持っていたマンションを売却します。仮住まいを挟まずに新居に引越しができるため、引越しのコストが1回分で済みます。 しかし「買い先行」の場合、旧居の売却資金を新居の購入にあてることができないため、資金計画が立てにくいというデメリットもあります。 手持ち資金で新居の購入資金や初期費用を賄える場合は問題ありませんが、そうはいかないことも多いでしょう。 そんなときに役立つのが「つなぎ融資」 つなぎ融資とは、買い替えで住宅ローンを組むまでの間に発生する費用の支払いに対して組むことができるローン商品です。住宅ローンの返済を始めるまでの期間は金利のみの返済で良く、その後物件の引き渡しのタイミングで融資が開始され、住宅ローンと合算して返済していきます。 新居の購入には、購入代金以外にも様々な初期費用が発生し、多額の費用がかかります。土地を購入してから家を建てる場合なども含め、初期費用の多くは物件の引き渡し前に発生し、それらは住宅ローンに組み込めないため、自己資金で賄わなくてはいけません。 しかし、物件の購入代金だけでも負担が大きいのに他にも費用がかかるとなると、自己資金だけでは払いきれなかったり、払うことはできるものの生活費が圧迫されたりする場合も多いです。とくに「買い先行」で買い替えを行う場合、売却資金を新居の購入代金や初期費用の支払いにあてることができないため、資金計画が難しくなります。そんな場合に活用できるのが、「つなぎ融資」です。 つなぎ融資のメリットとデメリット つなぎ融資のメリットは、住宅ローンを組む前に資金を用意できる点です。買い替えで引き渡し前に資金が必要になった際、頼ることのできる唯一のローン商品であるつなぎ融資。自己資金が不足していても、つなぎ融資を利用することで、スムーズな買い替えを実現することができます。 一方でつなぎ融資にはデメリットもあります。それは金利が高い点と、取り扱っている金融機関が限られる点です。つなぎ融資の金利は通常の住宅ローンの金利に比べると高いため、つなぎ融資を利用した場合、後々の返済の負担が重くなってしまいます。また、つなぎ融資の返済は住宅ローンと合算するため、住宅ローンの借入先と同じ金融機関で組む必要があります。 「買い替え」には、つなぎ融資以外のローン商品が利用できる場合もあります。つなぎ融資のデメリットが気になる方は、併せて検討してみましょう。 つなぎ融資を利用する場合は事前に慎重な検討が必要です。不明なことやご心配なことは松戸不動産情報館にお問い合わせください。

  • 農地は売りにくいってホント?

    農地は売りにくいってホント?

    農地はどうすれば売れる?地目の変更とは 農地は売りにくいという話を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。確かに農地の売却方法は宅地などと異なる部分があります。 国土が狭く可住地面積(人が住める土地の面積)が小さい日本では、土地の利用にさまざまな制限が課せられています。中でも「農地」は食糧自給率保持の観点から特別な扱いを受けており、農作物の栽培以外の用途を目的とした取得は、原則として認められません。また、容易に売買できないよう、売却にも制限があります。このような背景から、農地の売却は以下の2パターンが存在します。 【転用して売却(地目変更)】 地目とは、一言で言うと「土地の用途による区分」です。土地の登記簿に記載されており、「どのような用途に使われる土地か」を表す項目と考えてください。地目は用途によって23種類に分類されており、そのうち農地を表す地目は「田」および「畑」です。地目「山林」で農地の指定があることもあります。 これを「宅地」や「雑種地」など、他の地目に変更する手続きが農地転用です。農地転用によってさまざまな制限が外れることから、売却しやすくなるというメリットがあります。ただし、農地の地目変更には基準があり、さらに自治体の農業委員会や法務局の許可も必要です。これについては後ほど詳しく解説します。 【農地のまま売却】 農地のままで売却すること自体は可能です。ただし、「売却後も農地として使われること」という条件が課されます。そのため、買い手は事実上、農業従事者に限定されるわけです。また、この場合も自治体の農業委員会に許可申請を行わなくてはなりません。 農地売却と転用の流れ 上記のどちらの場合でも、基本的には「農業委員会からの許可」が求められます。売却までの流れは、おおむね以下の通りです。 1.農業委員会に許可申請を提出する 2.売買許可申請(農地のまま売却)、もしくは転用許可申請(転用して売却)が受理される 3.許可が下りるまでの間に不動産会社に仲介を依頼し「所有権移転請求権仮登記」を行う 4.所定の審査を経て許可が下りると「許可指令書」が交付される(転用の場合は法務局で農地の地目を変更する) 5.売買契約の締結、および代金の支払い ここで注意すべきなのが、3と4です。農地を売却するときは、許可が下りる前に手続き自体は進めていきます。このとき「仮登記」を行い、転用や売却が許可されるという前提のもとに手続きを行うわけです。ただし、万が一農業委員会からの許可が下りなかった場合は、売買契約自体が無効になります。しかし、農地売買は一般的に許可前の仮登記が行われることから、売買契約が無効になっても違約金の支払いなどは必要ありません。 また、転用の場合は法務局で地目変更の手続きが必要です。法務局では地目変更にあたり、「対象となる農地が、どういった使われ方をしているか」、つまり「現状」を重視します。転用が許可されるためには、現状から農地以外への変更がふさわしいと判断されることが重要です。例えば、長年事実上農地以外の用途に使っていたり、荒れ果てて農地に戻すことが難しかったりといったケースが該当します。これは農地売却特有の手続きですから、しっかり覚えておきましょう。 農地の地目を変更するには 二つのパターンのうち、地目を変更(農地転用)して売却する場合の基準について解説します。農地を「田」や「畑」以外の地目にするためには、「立地基準」と「一般基準」に合致していなくてはなりません。 ・立地基準…農地の区分により、転用の許可・不許可を定めた基準 ・一般基準…農地転用後の目的や、その実現可能性、持ち主の資力や信用力などから総合的に判断するための基準

  • 旗竿地とは?上手に売却する方法は

    旗竿地とは?上手に売却する方法は

    旗竿地とは 「旗竿地(はたざおち)」という言葉をご存じでしょうか? 文字通り、旗と竿のような形状になっている土地を表す言葉です。一般的に、旗竿地は整形地に比べて売却が難しいとされています。では、なぜ旗竿地が売れにくいのでしょうか。都心部や住宅街に多い旗竿地のメリットとデメリットを把握し、売却の参考にしていきましょう。 旗竿地とは?売れにくいと言われてる? 旗竿地は、別名「敷地延長」や「敷延(しきえん)」とも呼ばれます。道路に接する間口部分が狭く、そこから狭い通路(竿部分)を経て、住宅が建っている土地(旗部分)にたどり着く形状だからです。土地が不足している都心部では、密集するように家が建ち続けた結果、旗竿地が増えるという現象になっています。 旗竿地は、建物の建てにくさや採光・通風の懸念から売れにくいと言われることがあります。しかし、旗竿地は決して「売れない」わけではありません。特に住宅が密集するエリアでは旗竿地が多く取引件数も相当数あります。ポイントを押さえて販売すれば、十分売れる土地なのです。 旗竿地特有のメリットとデメリット 旗竿地をスムーズに売却するために、そのメリットとデメリットを理解しておきましょう。 【メリット】 ・土地価格が安い 旗竿地は、整形地に比べて土地の資産価値が低めに見積もられるので、近隣の一般的な土地よりも価格が低い傾向にあります。 ・固定資産税が低い 土地価格が低いということは土地評価額が低くなることが多いです、そうなると固定資産税も低くなります。これは大きなメリットと言えます。評価額が低くなる理由は、主に以下の通りです。 1.接道状況:道路に接している土地の間口が狭い 2.奥行:「竿(通路)」の部分が長く、実利用の土地部分が奥にある(奥にあるほど評価低) 3.不整形地:土地の形状がいびつ、特殊な場合は評価が低くなる 旗竿地は、一般的にこれらすべてに該当する場合が多いので、固定資産評価額が低くなると考えられます。 ・騒音等が少ない 旗竿地は、竿(通路)の長さの分だけ前面道路から離れており、自動車の通行や人の往来などの騒音が比較的少ないこともメリットです。静かで落ち着いた環境を求める買主にとっては、プラス材料になります。   【デメリット】 次にデメリットです。旗竿地は、一般的に以下のような理由から「売れにくい」と言われています。 ・建築費が高くなりがちである 特殊な形状のため、建物の建築の際に独自の施工になりやすく、建築費が高くなる傾向にあります。また、通路部分の幅が狭すぎると資材運搬に手間がかかり、コスト増加につながります。 ・再建築不可物件になりやすい 道路に接している間口が狭いため、建築基準法上の接道要件(幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していること)を満たせない可能性があり、その場合は再建築不可物件になります。売却時の現状の接道長さを確認することが重要です。   ・整形地に比べ使いにくい 駐車場や庭などを設けたい人にとって、旗竿地の通路部分は使いにくいでしょう。また、容積率をフル活用しにくく、建築する建物の床面積が狭くなりがちという問題もあります。 ・プライバシーの問題 通路を通り抜けるときに他の家の前を通ったり、住宅密集地帯だと隣家との距離が近かったりと、プライバシーの問題が発生しやすいこともあります。 旗竿地をうまく売却するには このように、どちらかといえばデメリットの方が目につきやすい旗竿地。うまく売却するために、「囲まれていることの圧迫感」や「プライバシーの問題」を緩和するような対策を講じることがおすすめ。外構に植栽や花壇などを適宜配置するのも一つの方法です。また、竿(通路)部分を駐車スペースとしている場合、有効宅地として実質建築可能な面積が容積率を満たして十分取れることも多いので、その点をアピールするのも良いでしょう。 メリット面を上手に訴えた販売手法で、望む買主を見つけることが可能です。

  • 空き家の3,000万円特別控除・令和5年税制改正!

    空き家の3,000万円特別控除・令和5年税制改正!

    空き家の3,000万円特別控除・令和5年税制改正! 前回は空き家の3,000万円特別控除の適用要件について、詳しくご説明しました。 本記事では、この特別控除について、令和5年度の改正に伴う変更点を中心に解説します! 制度の概要をおさらいすると、 相続した不動産を売却した際の譲渡所得から3,000万円を控除することができる、という特例です。 所得税の基準となる譲渡所得を以下の計算式で算出します。 「譲渡所得」=「空き家の売却価格」-「売却にかかった費用」-「3,000万円の控除額」 この特例を受けるには、売却する家や土地などが対象になっていることに加え、売却の時期や金額、買い主などの要件を満たしていることが必要です。 控除が受けられる不動産の対象 ・相続する直前まで親が居住用として暮らしていた家屋であること ・昭和56年5月30日以前に建築された家屋であること ・マンションなどではないこと ・相続してから売却するまでの間、空き家であったこと ・売却する空き家が耐震基準を満たしているか、更地になっていること 控除を受けるための要件 ・相続または遺贈により取得した家屋、もしくは敷地であること。 ・相続開始日から3年経過する日の属する、12月31日までに売却すること ・売却代金が一億円以下であること。 ・売却した家や敷地について、他の特例の適用を受けていないこと ・他の家や敷地でこの特例の適用を受けていないこと ・親子や夫婦等の関係である人に売却していないこと 特別控除の特例は平成28年に制定され、令和5年12月31日までの譲渡が適用期限となっていましたが、令和5年度の税制改正で適用期限が4年間延長されています。 制度の適用となるには「耐震基準を満たしている」という条件が定められていますが、この条件を満たすためには、以下のどちらかの方法とされていました。 ・売り主が耐震リフォームを行った上で売却する ・売り主が家屋を取り壊して更地にした上で、土地を売却する しかしこの点が、制度を適用するために必要な工事費用の負担や工事実施のタイミングが現行では難しいことなどが枷となり、空き家の処分の支障になっていたため、この部分にも改正が入りました。 ◎令和5年度税制改正による変更点・まとめ◎ □適用期限が4年間延長され、令和9年12月31日までの譲渡が対象となる □令和6年1月1日以降の売却については契約時に取り決めをすれば、買い主側で購入後に耐震工事や解体を行う場合でも対象となる □令和6年1月1日以降の売却について、相続人の数が3人以上の場合は特別控除額を1人2,000万円を限度とする 令和5年度の改正で適用期限が延長されたことにより、特例を適用して空き家の売却が一層進むことが期待されます。 また、条件を満たすために、売り主側で工事費用の負担や工事のタイミングなどを考慮する必要が無くなりました。買い主側にとっては、購入後の選択肢が増えるというメリットもあります。 とはいっても、購入後に買い主側で工事を施すことで条件に適用させるためには、売買契約書に特約事項を明記するなど取引の際に注意が必要になる点もあります。   制度の利用ができるかなど、個人で判断が難しい場合は、当店までご相談ください。   参考資料:国交省「令和5年度国土交通省税制改正概要」 国交省:「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除について」

  • 相続不動産の評価額はどう知るか(建物編)

    相続不動産の評価額はどう知るか(建物編)

    相続不動産の評価額の調べ方(建物編) 相続税の納税義務が発生するかどうか知るためには、被相続人がどの程度の金銭価値のある遺産を遺したのかを把握することから始めましょう。 財産は現金だけではなく、預貯金、有価証券、土地、建物などの価値をそれぞれに評価した総額です。土地や建物などの不動産にもそれぞれ評価方法があり、計算した価格が相続税評価額となります。 本記事では相続不動産の中でも建物の評価額の調べ方や計算方法について分かりやすく紹介します。 〇相続における建物評価額 建物の相続税評価額は住居として利用していた場合と、賃貸として利用していた場合とで異なります。 相続する建物の評価額は固定資産税評価額と同じです。つまり固定資産税評価額=相続税評価額となります。 固定資産税評価額は固定資産税の基準となる評価額です。3年に一度、見直しがあり市町村が算定します。 固定資産税評価額は課税明細書で確認をすることができます、課税明細書とは不動産を所有している人に市町村から送付される固定資産税の納税通知書のことです。添付されている課税明細書の「価格」という欄の値が「固定資産税評価額」です。 課税明細書がない場合は、固定資産課税台帳の閲覧や固定資産評価証明書の取得が必要です。役所の固定資産税課などで、申請書の記入や、本人確認、手数料などが必要です。申請は郵送でも可能です。 〇収益物件の相続税評価額の計算方法 被相続人が自宅として利用していた場合は、上述したように固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になりますが、収益物件(貸家)の場合は計算方法が異なります。 この場合の建物の評価は、「建物の固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)」となります。収益物件(貸家)の場合には権利の制約があるため、借家権割合(30%)によって減額されます。また、賃貸割合(入居率)も加味された上で最終的な評価額が決定されます。 例えば固定資産評価額が5,000万円のアパート(入居率100%)の場合、相続税評価額は3,500万円となります。 計算式:5,000万円×(1-30%×100%) 賃貸割合とは賃貸物件が利用されている割合のことです。たとえば相続される時期に、10室の内10室が貸し出されていた場合には100%となり、5室が空室になっている場合では50%です。空室が多いと、評価額の減額率は減ります。 貸家は他人に貸している不動産であるため、所有者が自宅のように自由に使うことができない不動産です。 賃貸借契約では、借主の権利が守られているため、契約も容易に解除できないのが通常です。 借主を退去させるには、立ち退き料を支払う必要もあり、所有者(貸主)は自由に使うための大きな制約があるといえます。 貸家は権利の制約が大きいという理由から、相続税評価額では自用の物件よりも価値が劣るという「考え方」が採用されています。 よって、貸家の相続税評価額は、自用の物件よりも低くなるのです。 収益物件は相続対策になると言われるのはそのためです。 次回は、土地の相続税評価額についてお話します。 参考:財産評価基準書(国税庁)

  • 任意売却の進め方

    任意売却の進め方

    任意売却の進め方 以前の記事、任意売却とは?住宅ローンの返済が苦しくなったらでは、任意売却のメリットについてお話しました。 任意売却は通常の不動産売却とは異なるため、どのように進めればよいかわからないという方もいらっしゃるか思います。一般の不動産市場で売却を行うため、売却自体の準備や進め方は普通の売却と同じですが、準備と売却後の手続きに違いがあります。 本記事では、任意売却の流れ、着手前にやるべきことについて解説します。   【任意売却のスケジュール】 (1)現状の把握と書類の準備(本人) 任意売却を検討する際、最初にやるべきことは、自分の現状を把握することです。 まずは、現在のローンの状況を正確に把握しましょう。滞納が始まっているかどうかも重要です。この点が不明だと、任意売却できる期間がどの程度残されているかわかりません。金融機関からの督促状などがあれば、一番最近届いたものを取っておきましょう。 また、建物や土地の状態がわかる書類があれば、こちらも用意しておいてください。不動産を購入した時の書類があると一番良いでしょう。図面や土地の測量図、建築確認済書などがないか探してみましょう。このような書類は、不動産会社に相談する際にも役立ちます。 (2)不動産会社への連絡と初回相談(本人) 現状把握を開始したら並行して、任意売却を依頼する不動産会社探しを進めます。任意売却を専門とする業者もあります。 (3)自宅の査定(不動産会社) 自宅にどの程度の価値があり、いくらで売れそうかを確認します。より正確な査定価格を算出するために、現地での訪問査定が行われる場合は、所有者の方の立ち合いが必要となります。 (4)債権者との交渉(不動産会社) 査定価格が算出できたら、査定結果を携えて債権者と交渉を行います。債権者が誰になるのかはタイミングによって異なりますが、多くの場合、保証会社か債権回収会社(サービサー)となり、税金の滞納があれば自治体の税務担当者です。 交渉では、任意売却を行うことで競売より高く売れる可能性があり、債権者の回収額も増えることなどを説明し、任意売却の許可を得ることを目指します。債権者が複数存在する場合などは利害関係が複雑化して交渉の難度も上がります。 ※売出価格は、査定書の内容を踏まえ、債権者側が売出価格を指定する場合が大半です。 (5)売却活動を行う(不動産会社) 任意売却の許可を得られたら、売却活動が始まります。通常の売却と同様に一般市場で行われます。最終的には任意売却である旨を購入希望者に伝えますが、任意売却であるという事実がサイトなどで公開されることはありません。そのため、競売とは異なり、経済状況が悪化したために売却することを他人に知られる心配はありません。 (6)内見対応 購入希望者が現れたら、次は内見です。内見の結果は購入を決める重要な要素なので、購入希望者が家の中を気持ちよく見学できるよう、各部屋の片づけや整頓をしておきましょう。この時点で引越しが決まっているのであれば、荷物の処分や整理を先行して進めておくとよいでしょう。 (7)契約締結・決済 内見の結果、購入の申込が入ると、売買契約の締結に移ります。当事者間で価格の合意ができれば、債権者と再度協議して、売却価格と配分案(売却代金の内訳)と抵当権の解除に対する最終的な合意を取ります。 通常の売買では、契約締結の時点で手付金が発生しますが、任意売却では手付金なしかまたは不動産会社の預かりとすることが多いです。 債権者の合意が取れ、代金の決済が完了すると、所有権の移転と抵当権の解除を行い、正式に引渡しとなります。 (8)残債処理 任意売却は、オーバーローン状態、不動産の担保価値よりもローンの残債が高い状態での売却なので、ほとんどのケースで残債が発生します。そのため、残債をどのように処理するかも重要です。少額ずつの分割払いなど、経済状況に応じて無理のない処理方法を検討するとよいでしょう。 ここまで来て、無事に任意売却完了となります。任意売却は、債務者が少しでも良い状態で新しい生活をスタートさせることが目的です。ここで述べたように、任意売却できる時間は限られています、ローンの返済が不安になったら、すぐに金融機関に相談することが大切です。

  • 原価法とは

    原価法とは

    不動産を査定するには3つの計算方法があります。 ◎取引事例比較法 ◎原価法 ◎収益還元法 このうち、原価法は再調達原価がいくらになるかを計算した上で、物件の査定額を求める方法です。 今回は、原価法とは何か、どのように用いられるのかを分かりやすくご説明していきます。 【原価法とは】 原価法は、今建っている建物を取り壊して全く同じ建物を建て直すと仮定していくら費用がかかるかを計算します。 ただ、実際の物件は築年数が経過しているので、築年数が経過した年数に応じて建物が劣化していると仮定し、費用を計算します。 この費用を仮定の建て直し価格から差し引いたものが、物件の査定額。つまり、今の売却価格になるという仕組みです。 再調達原価(再調達価格)とは 再調達原価は、同様の建物を建築する場合にかかる費用をさします。建物構造ごとに定まっている1㎡あたりの建築単価に床面積をかけて算出します。再調達原価は不動産査定によく用いられますが、その他にも中古住宅の保険や金融において算出するケースもあります。 減価修正とは 減価修正とは、鑑定評価における価値の判定作業の一つです。不動産など、経年劣化・陳腐化の可能性がある資産は、価値を評価する際に低下した分を修正する必要があります。このように、様々な要因で価値が低下した分を修正・適切化する作業を減価修正と言います。 減価修正には、耐用年数を用いた方法(経過年数によって一律で数値を決める)と観察減価法(劣化具合を目視で確認して減価修正をおこなう)があり、基本的には併用されます。 原価法の計算式は、以下の通りです。 積算価格=単価×総面積×残存年数(耐用年数-築年数)÷耐用年数 このうち、耐用年数は構造ごとに法律で決まっているので、そちらを利用して計算します。 軽量鉄骨プレハブ造(厚さ3mm以下)    19年 木造                22年 軽量鉄骨プレハブ造(厚さ3mm~4mm)    27年 重量鉄骨造(厚さ4mm以上)        34年 鉄筋コンクリート造            47年 例えば、築15年・面積90㎡の木造建物を原価法で査定するとします。 木造物件の1㎡あたりの単価を20万円と仮定すると、再調達価格は以下のようになります。 20×90=1800万円 次に、残存年数(耐用年数-築年数)÷耐用年数を計算します。 耐用年数は22年、築年数は15年なので、 残存年数÷耐用年数=7÷22=約0.32となります。 原価法で算出される価格はこの場合、1900万円×0.32=608万円となります。 【原価法で計算したら必ず価格補正をする】 原価法では同じ構造・面積・築年数の物件を計算したら、だいたい同じ金額になります。ただ実際には、立地が良いかどうかや周辺環境の良さ、駐車場の有無なども価格に影響します。途中でリフォームなどを実施していることなども、評価の分かれ目です。 このように、原価法の計算で評価できない部分は、計算後に価格を補正する形で盛り込みます。 補正の対象になる要素としては、以下のようなものが挙げられます。 規模が大きいほど価格は高くなる、エリア需要、駐車場の有無、リフォームや増築工事を実施しているほど高くなる 価格補正を実施して、原価法は完了となります。 一戸建ての場合、土地と建物は別々に査定することが多く、一般的に土地には取引事例比較法を用います。取引事例比較法については別の記事でお話します。

  • 「空き家特例」相続空き家の3000万円特別控除の要件をチェック

    「空き家特例」相続空き家の3000万円特別控除の要件をチェック

    「空き家特例」相続空き家の3000万円特別控除とは② 適用要件の詳細編 「空き家特例」相続空き家の3000万円特別控除とは①では、その概要について触れました。本記事では、各要件の詳細についてお話します。   〇相続開始日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること この特例の適用期限は、2016年(平成28年)4月1日から2023年(令和5年)12月31日までの間で、かつ、相続のあったときから3年後の年末までの売却という適用条件があります。 たとえば、2019年7月1日に相続が開始(基本的に被相続人の死亡)されたとしたら、2022年の12月31日までの売却に適用となります。 〇被相続人が住んでいた土地と家屋の両方を相続していること 〇被相続人が亡くなる直前まで1人で居住していた家であること 相続開始の直前において被相続人が一人で居住していたものであること。相続開始まで亡くなった人が一人暮らししていたことを証明するには「被相続人居住用家屋等確認書」や被相続人(亡くなった人)の住民票、電気ガスの閉栓証明書などが必要です。 ◇被相続人が介護保険法に規定する要介護・要支援認定を受け老人ホーム等に入所し、かつ、相続の開始の直前まで老人ホームに入所をしていたこと。 ◇被相続人が老人ホーム等に入所をした時から相続開始の直前まで、その家屋について、その被相続人による一定の使用がなされ、かつ、事業の用、貸付けの用またはその被相続人以外の者の居住の用に供されていたことがないこと。 〇相続から売却までの間、賃貸に出したり相続人が住んでおらず、ずっと空き家であったこと この間に賃貸に出したり、といった事業をした場合は適用外となります。 また、相続人が相続後に一度でもその家に住んだら、たとえ適用期限内の売却であっても適用できません。 そのため、相続した空き家を安易に活用したり、一時的に自身で住んだりすることは避ける方がいいでしょう。 〇昭和56年5月31日以前に建築された家屋で、区分所有建物ではないこと 適用条件に築年数が設けられている理由は、「昭和56年5月31日」に建築基準法の耐震基準が改訂されたからです。つまり、この特例は、「旧耐震基準」の家を対象にしているということです。 そもそもこの特例を作った背景には、深刻化する空き家問題があります。相続空き家の3000万円特別控除は、古くて耐震性が低い空き家が増えることを抑える目的としてつくられたものなので、建築年月日に条件が設けられています。 区分所有建物とは、簡単にいえば「マンション」のことです。 上記で述べたように「耐震性の低い空き家」を対象としているため、一戸建てに比べて、きちんと修繕計画がされているマンションは適用外となっています。 また、二世帯住宅でも区分所有登記されている場合は利用できません。 〇同じ被相続人の相続で、すでに空き家特例を利用していないこと 同じ被相続人(亡くなった方)の相続ですでに空き家特例を利用していないことが条件です。 〇買主が配偶者や直系血族などの関係人を除く、第三者であること 配偶者や一定の親族、同族会社など特別の関係にある人や会社に売却する場合は適用されません。 〇売却金額が1億円以下であること 自分以外の他の相続人と一緒に売却している場合や、複数年にわたって売却する場合も売却金額を合算します。 〇売却する空き家は耐震基準を満たしている、または取壊して更地にして売却すること 空き家特例は「旧耐震基準」の家を対象としていますが、そのままの状態で売却しても適用とはなりません。 「耐震性の低い空き家の増加を抑制」することが目的の特例なので、耐震性を向上させるか、耐震性の低い建物を解体しなければ適用されません。 耐震性を証明する書類として「耐震基準適合証明書」もしくは「建設住宅性能評価書の写し」が必要です。 適用となる条件は、 ◇耐震リフォームをして一定の耐震性を満たしたもの ◇耐震性が認められないものは解体していること のいずれかです。   空き家特例(相続空き家の3000万円特別控除)の適用により、納税が0円であっても必ず確定申告が必要となりますので注意してください。 上記の要件にあてはまるかどうか判断がつかない、空き家をどうしたら良いか判断がつかない、などでお困りの方は、まずは不動産店に相談してみるのも一つの方法です。 当店では、税理士や司法書士など、各士業との連携もスムーズですので、まずはお気軽にお問い合わせください。 空き家特例(相続空き家の3000万円特別控除)の申請時の必要書類 ・譲渡所得の内訳書(確定申告書付兼計算明細書)【土地・建物用】(5面) ・土地と建物の登記事項証明書(登記簿謄本) ・土地と建物の売買契約書のコピー ・被相続人居住用家屋等確認書 ・耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書のコピー(土地の売却の場合は不要) ※被相続人居住用家屋等確認書は、空き家特例対象の不動産の所在する市町村に申請し、交付を受けます。

  • 「囲い込み」って?

    「囲い込み」って?

    囲い込みとは?   「囲い込み」 一般的にはあまり聞き馴染みがない言葉ではないでしょうか。 不動産における囲い込みとは、売主様から売却依頼を受けた物件を自社だけで取引したいがために、他社から問合せがあっても「契約予定などの嘘の情報」を伝えて他社経由のお客様に紹介できないようにする行為です。 一時期テレビやニュースで取り上げられたもののやはり一般の方にはあまり周知されていないようです。 今回はそんな「囲い込み」についてのお話です。       通常の取引では、専属専任媒介契約か専任媒介解約の場合、売主から不動産売却を依頼された不動産会社はレインズ:不動産流通機構に物件を掲載します。レインズは不動産会社であれば閲覧でき、買主側不動産会社はレインズの情報を基に物件を紹介をして成約を目指します。その為、レインズに掲載することで、日本中の不動産会社が抱える買主へ情報を届けることができるのです。   ■囲い込みの手口 買主側不動産会社がレインズ上で自社の買主様の条件と合致する物件を見つけ、売主側不動産会社に対して自社顧客へ紹介可能か打診をします。契約予定など紹介できない事情がなければ、通常は日程を調整して内覧の日程を決めますが、囲い込みをしている売主側不動産会社は、 「契約予定なのでご紹介できません」 「売主様からまだ鍵を預かってないので、まだ内覧できません」 などの理由で他社経由のお客様が内覧できないようにします。 そして、これは、嘘の場合もあるかもしれないのです。 ■なぜ囲い込みをするのか 囲い込みをする不動産会社の目的は、売主と買主双方から仲介手数料をもらう「両手取引」です。他社の不動産会社が入った取引になると、売主からしか仲介手数料がもらえない「片手取引」になるので他社の不動産会社をブロックして自社で買主を見つけます。 囲い込みをすることによって、他の不動産会社経由で興味を持った購入希望者全てが内覧できない状況になります。その為、購入希望者の絶対数が減りその分時間もかかり、早期売却が叶わない可能性が出てくるのです。また本来売れるはずの金額で売れなくなる場合もあり、売主様は不当に不利益を被ることになります。 まとめ 囲い込みは、売主様の利益を損なう行為で、売主様にとって大きなリスクがあります。不動産会社としては宅建業法には明確には違反しないと言われていますが、例えば嘘をついて内覧を拒否したとすれば、宅建業法31条1項「宅地建物取引業者は、取引の関係者に対し、信義を旨とし、誠実にその業務を行なわなければならない」という、民法1条2項の信義誠実の原則に反しているとも考えられます。職業倫理に悖る行為であり、行政罰や刑事や民事で責任を問われる可能性もあるのです。 ほとんどの不動産会社は善良に仕事をしていますが、「囲い込み」と思われる行為は暗に継続しているのが現実です。 「囲い込み」がおこなわれている場合、一般の売主様が気づくことはなかなか難しい※ため、売主、買主、両者の間に立って、誠実な仕事をする会社や担当者を見極めることが大切です。 ※売主様がレインズへの登録状況の確認をすることができます 参考:売却依頼物件のレインズ登録内容が確認できます

  • 住宅ローン完済と抵当権抹消

    住宅ローン完済と抵当権抹消

    抵当権抹消とは 住宅ローンが残っている状態で住まいを売却するとき、必ずしなければならないのが「抵当権抹消」です。抵当権抹消を行わないと、売却の際に不都合な事態に陥ります。抵当権の具体的な内容から抵当権抹消の手続きの流れまで、きちんと把握しておきましょう。 抵当権と抵当権設定について 抵当権とは、民法に定められている「約定担保物権」の一つです。抵当権が設定されていると、債権者は債務者から返済がない場合に、抵当権が設定された不動産担保から弁済を受けられます。もう少し簡単に言えば、債務者が「ローンの支払いができなくなったときのための保険」です。金融機関が住宅ローン融資を実行する際、もしも返済が滞ったときのために、家や土地を担保して確保します。つまり債務の弁済(ローンの返済)ができなくなったときには不動産担保を売って債権を回収しますよ、という権利を確定させるわけです。この権利が「抵当権」です。 抵当権を設定するためには、「抵当権設定登記」を行います。抵当権設定登記は不動産登記の一つで、法務局にて行います。登記手続きは不動産の所有者本人でも行えますが、一般的には、間違いのないよう司法書士に依頼します。 ちなみに抵当権は、複数の抵当権者が存在することが可能で、その場合それぞれが抵当権設定登記を行います。抵当権者には順位があり、先に抵当権を設定した抵当権者から優先的に債権の回収ができることになっています。例えばA金融機関がBさんの自宅に対して最初に抵当権を設定したとしましょう。Bさんの債務弁済が滞ったとき、別の債権者CさんがBさんに対して、自宅の売却による弁済を迫っても、A金融機関への弁済が優先されるわけです。 売却時になぜ抵当権の抹消が必要なのか このように債権者の強力な権利である抵当権は、住宅ローンの返済が完了しても自動的に消えるものではありません。住宅ローンの返済が終わったら、抵当権設定登記と同様に法務局で「抵当権抹消登記」を行う必要があるのです。では、なぜわざわざ抵当権を抹消しなくてはならないのでしょうか。 一般的に抵当権が設定されている不動産は、「債務が残っている」と判断されます。ですから、抵当権が設定されている物件には、通常金融機関は新たな融資を行いません。つまり住宅ローンが使えないので、売れる可能性は低くなります。そもそも買主からすると、別の優先順位が高い抵当権者が債権を主張してくるリスクがある限り、まず購入に踏み切ることはないでしょう。適切な価格でスムーズに売却したいのなら、抵当権抹消登記は必ず行う必要があります。 抵当権抹消の手続きと費用 【手続きの流れ】 抵当権抹消の手続きは、以下のような流れで行われます。 1.住宅ローンの完済 住宅ローンの残債をすべて支払います。一括の「繰上げ返済」になるので、金融機関によっては手数料がかかります。 2.必要書類の準備 ・住民票(原本およびコピー) ・抵当権抹消登記申請書 ・登記原因証明情報(解除証書や弁済証書と呼ばれる場合もあり) ・登記識別情報(登記済証) ・代理権限証明情報(金融機関からの委任状) 3.法務局へ申請 4.登記完了後、法務局で登記抹消を確認する 抵当権抹消登記を申請してから完了するまでは、およそ1~2週間程度かかります。 【抵当権抹消登記にかかる費用】 ・登録免許税(抵当権を抹消する不動産の数×1,000円) ・司法書士への報酬(1件当たり5,000円から1万円前後) 登録免許税については、土地付きの建物に対して抵当権抹消登記を行う場合には、土地・建物それぞれが不動産1件とカウントされます。つまり合計2件の登記を行うため、登録免許税は2,000円になります。 なお、抵当権抹消登記を所有者自身で行う場合には、司法書士への報酬が必要ありません。ただし、不慣れな書類作成をミスなく行い、平日の日中に法務局へ出向く労力を考慮すべきでしょう。買主側から見ても、素人が登記を行うより専門家が代行した方が安心できると言えます。実際に融資実行の関係で、司法書士は手続き代行することを前提とする金融機関もあるようですから、自分でやろうとする場合は確認が必要です。 ところで、抵当権抹消登記には期限がありません。ただし、金融機関から送られてくる書類には有効期限があり、有効期限を過ぎた書類は無効になります。また、前述のように、買主側の住宅ローンの都合もありますから、できるだけ早めに登記するよう心がけましょう。

  • 建物滅失登記とは

    建物滅失登記とは

      新たに建物を建てた際、新しい建物の登記をするということは想像ができると思います。しかし、解体した際にも登記が必要なことは知らない方もいらっしゃるかもしれません。今回は建物を解体した際に行う滅失登記について、登記申請は自身がやらなくてはならないのか、第三者へ依頼できるのか詳しくご説明します。 「建物滅失登記」は、建物をすべて解体、または火事で焼失したなどの場合に行う申請になります。家や店舗などの建物は、所有者や建物の所在、構造などを公に示す目的で登記簿に記載されているため、建物がなくなったことを反映させる必要があります。手続きが完了すれば、建物の登記簿は閉鎖され、建物の固定資産税がかからなくなります。滅失登記は、不動産登記をした時と同じように、建物だけではなく、土地についても登記を行う必要がありますが、基本的には建物だけの申請で問題ありません。 建物の滅失登記は、もし怠ってしまうと権利関係の明確化や抵当権者トラブル、保険金請求に問題が生じる可能性があるため、必ず行わなくてはなりません。 また、滅失登記は不動産登記法第五十七条に基づく義務であり、建物が解体されてから1ケ月以内に申請しないと10万円以下の過料が科される場合もあります。 建物がなくなっても、土地がなくなってしまうケースはほとんどないので、土地の滅失登記は基本的には必要ありません。ただし、海岸線の土地が永続的に沈んだり、大地震によって土地が変形した場合など適宜必要な登記申請をしなければなりません。 【滅失登記の申請は誰ができるのか】 建物の所有者である登記名義人が申請できます。複数人で共有している建物の場合には、共有者の中の1人が単独で申請できます。ただし建物解体の申請については、共有者全員の同意が必要になるため、それぞれ手続きの扱いが異なる点には注意しておきましょう。滅失登記は登記情報の表題に関する登記なので、司法書士ではなく、土地家屋調査士にのみ依頼できます。 つまり、滅失登記の申請ができるのは、建物の所有者と土地家屋調査士になります。また、所有者が亡くなっている場合は、相続人が申請を行うことも可能です。 【自分で申請できるか】 土地家屋調査士に依頼した場合、5万~10万円程度の費用がかかる場合が多いです。申請手続きをすべて自分でおこなうこともできるので、その場合は費用を節約できます。しかし、建物解体から1ヶ月以内という期限や手間、また正確性を考えると、専門家に依頼した方が安心とも言えます。 【申請に必要な書類】 ①建物滅失登記の申請書 滅失した建物の詳細を申請する書類になります。建物がなくなった理由となくなった日付、提出先の法務局、申請人の氏名や住所などを記入します。所在、家屋番号、種類、構造などの建物の詳細は、登記簿謄本の内容を書き写します。控えとしてコピーをとっておきましょう。 申請書は、法務局のホームページからダウンロード可能です。 法務省:不動産登記の申請書様式について ②滅失した建物の登記簿謄本や各種図面 「登記簿謄本(全部事項証明書)」は、申請書に記入する建物の詳細を確認するために使用します。建物図面や各階平面図、公図などの各種図面は、一括取得が可能で、添付書類として提出します。登記簿謄本と各種図面どちらも法務局の窓口交付、またはオンライン請求で取得できます。 ③建物滅失証明書 建物の取り壊し完了を証明する書類です。「建物取り壊し証明書」とも呼ばれています。解体工事完了後、工事を実施した解体業者が作成し、施主に渡します。記載されている内容に間違いがないか確認しましょう。 ④解体業者の証明書と会社の印鑑証明書 「解体業者の証明書」と「会社の印鑑証明書」も解体業者から施主に渡す書類です。受け取り時には、建物滅失証明書の工事人欄と相違がないか確認しておきましょう。 ⑤該当箇所の地図 法務局の担当者が現地確認する必要があるため、建物が滅失した箇所の地図を添付します。Googleマップなどのインターネットの地図を印刷し、該当住所に印をつけます。インターネットの地図が入手できなければ、図書館などで借りた住宅地図、または手書きの地図でも問題ありません。 ⑥現地の写真 可能ならば、建物が滅失した現地の写真を撮っておくと良いでしょう。必須ではないですが、写真があれば建物がなくなった証明にも使えるので便利です。 ⑦委任状(手続きを代行してもらう場合) 建物の所有者以外が代理で手続きする際に必要になります。所有者が法務局に直接行けない、または土地家屋調査士に代行をお願いする場合は、委任状を作成しましょう。   相続した空き家を売却するなど、非居住で建物が老朽化している物件は、その物件を「土地」として取引することも良くあります。この場合、滅失登記を含め解体に関する手続きは売主側で負うことを条件とすることも多いです。 売却の流れや費用を確認する際、建物解体や滅失登記についても忘れずに覚えておくと良いでしょう。

  • 不動産売却後の確定申告は必要?不要?

    不動産売却後の確定申告は必要?不要?

    不動産売却後の確定申告は必要?不要? 確定申告の必要性は、不動産を売却したときの利益(譲渡所得)がプラスとマイナスのどちらであるかで判断します。 譲渡所得がプラスであれば確定申告は必要ですが、マイナスであれば原則不要です。 譲渡所得の計算方法は、以下のとおりです。参考記事:譲渡所得税って?  譲渡所得額=譲渡価額−譲渡費用−取得費 譲渡価額は、不動産の売却価格のことです。譲渡費用は、仲介手数料や印紙税など不動産の売却時に支払った諸経費を指します。 取得費は、不動産を購入した時にかかった費用です。 更に建物部分の計算は不動産を購入した当時の価格から、経年劣化によって失われたと考えられる価値分である「減価償却費」を差し引いて計算します。 土地は経年劣化しないため、土地部分の取得費を計算するときに減価償却費は差し引きません。 ◎譲渡所得がプラスなら確定申告が必要◎ 不動産の売却時に確定申告が必要となるのは、譲渡所得がプラスであり売却によって儲けが出ているときです。 例えば不動産の譲渡価額が5,000万円、譲渡費用が400万円、取得費が4,000万円である場合、譲渡所得を計算すると「5,000万円−400万円−4,000万円=600万円」となります。 計算の結果、譲渡所得がプラスとなっているため、確定申告をして税金を納める必要があります。 ◎譲渡所得がマイナスなら確定申告は原則不要◎ 不動産を売却したときの譲渡所得を計算すると、結果がマイナスとなり、損失が発生しているのであれば、確定申告は必要ありません。 例えば不動産の譲渡価額が3,000万円、譲渡費用が300万円、取得費が3,500万円である場合「3,000万円−300万円−3,500万円=−800万円」となり、計算結果がマイナスとなるため、確定申告は不要です。 ただし「居住用財産の3000万円特別控除」の利用によって、計算結果がマイナスとなる場合は確定申告をしなければなりません。居住用財産の3000万円特別控除は、住んでいた自宅を売却したとき、所定の要件を満たすと譲渡所得を最大3,000万円控除してくれる制度です。 居住用財産の3000万円特別控除は自動で適用されるわけではありません。 マイホームを売却したときに居住用財産の3000万円特別控除を利用するときは、忘れずに確定申告しましょう。 不動産売却で損をした場合(譲渡損失が出た場合)、譲渡所得にかかる税金はゼロとなり支払いは発生しません。 そのため確定申告の必要もありません。 しかし確定申告をすることにより、下記の特例が利用できます。  マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例  特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 特例の利用により税金の軽減措置が取れるため、税金対策として有効です。不動産売却で損をしても、税金の特例を利用したい人は確定申告を必ずしましょう。

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