原価法とは

原価法とは

不動産を査定するには3つの計算方法があります。

◎取引事例比較法
◎原価法
◎収益還元法
このうち、原価法は再調達原価がいくらになるかを計算した上で、物件の査定額を求める方法です。
今回は、原価法とは何か、どのように用いられるのかを分かりやすくご説明していきます。


【原価法とは】
原価法は、今建っている建物を取り壊して全く同じ建物を建て直すと仮定していくら費用がかかるかを計算します。
ただ、実際の物件は築年数が経過しているので、築年数が経過した年数に応じて建物が劣化していると仮定し、費用を計算します。
この費用を仮定の建て直し価格から差し引いたものが、物件の査定額。つまり、今の売却価格になるという仕組みです。

再調達原価(再調達価格)とは
再調達原価は、同様の建物を建築する場合にかかる費用をさします。建物構造ごとに定まっている1㎡あたりの建築単価に床面積をかけて算出します。再調達原価は不動産査定によく用いられますが、その他にも中古住宅の保険や金融において算出するケースもあります。

減価修正とは
減価修正とは、鑑定評価における価値の判定作業の一つです。不動産など、経年劣化・陳腐化の可能性がある資産は、価値を評価する際に低下した分を修正する必要があります。このように、様々な要因で価値が低下した分を修正・適切化する作業を減価修正と言います。
減価修正には、耐用年数を用いた方法(経過年数によって一律で数値を決める)と観察減価法(劣化具合を目視で確認して減価修正をおこなう)があり、基本的には併用されます。

原価法の計算式は、以下の通りです。

積算価格=単価×総面積×残存年数(耐用年数-築年数)÷耐用年数

このうち、耐用年数は構造ごとに法律で決まっているので、そちらを利用して計算します。

軽量鉄骨プレハブ造(厚さ3mm以下)    19年
木造                22年
軽量鉄骨プレハブ造(厚さ3mm~4mm)    27年
重量鉄骨造(厚さ4mm以上)        34年
鉄筋コンクリート造            47年

例えば、築15年・面積90㎡の木造建物を原価法で査定するとします。
木造物件の1㎡あたりの単価を20万円と仮定すると、再調達価格は以下のようになります。

20×90=1800万円

次に、残存年数(耐用年数-築年数)÷耐用年数を計算します。
耐用年数は22年、築年数は15年なので、
残存年数÷耐用年数=7÷22=約0.32となります。

原価法で算出される価格はこの場合、1900万円×0.32=608万円となります。

【原価法で計算したら必ず価格補正をする】
原価法では同じ構造・面積・築年数の物件を計算したら、だいたい同じ金額になります。ただ実際には、立地が良いかどうかや周辺環境の良さ、駐車場の有無なども価格に影響します。途中でリフォームなどを実施していることなども、評価の分かれ目です。
このように、原価法の計算で評価できない部分は、計算後に価格を補正する形で盛り込みます。

補正の対象になる要素としては、以下のようなものが挙げられます。

規模が大きいほど価格は高くなる、エリア需要、駐車場の有無、リフォームや増築工事を実施しているほど高くなる

価格補正を実施して、原価法は完了となります。

一戸建ての場合、土地と建物は別々に査定することが多く、一般的に土地には取引事例比較法を用います。取引事例比較法については別の記事でお話します。

監修者情報

  • 代表 稲葉 昇久
  • 株式会社チームニッコークリエイティブ
    松戸不動産情報館

    代表 稲葉 昇久

    代表挨拶

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